ローレンス・サマーズ

サマーズ:不動産屋が借金をし始めたら危ない

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ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、トランプ政権批判を続けている。
先日は理路整然と保護主義を批判したが、この日は同じThe Washington Postで金融分野の規制緩和について批判している。

今回の批判対象は金融界と金融界出身の閣僚・高官であり、サマーズ氏の批判も辛辣を極めている。
ウォーレン・バフェット氏が絶賛したトランプ政権人事をバッサリ切り捨てている。

「不幸なことに、政府内で有能だからといって(少なくとも多大な助けなくしては)企業に入って経営する能力が培われるわけではないのと同じように、ビジネスの経験もまた公共政策・政治のプロセスを指揮する能力を与えてはくれない。」

そのビジネス経験豊かな閣僚・高官らが、リーマン危機等への反省に立って作られた金融規制を緩和しようとしている。
こうした規制は2011年の《ウォール街を占拠せよデモ》などでも見られた、民衆の金融界への不信感を具現化したものでもあった。
サマーズ氏は、ドッド・フランク法などの規制が官僚主義や小規模銀行を含むなど負担の多すぎるルールになっている点を認めている。
しかし、それを撤廃しろと言う人たちの姿勢も軽率すぎると非難する。

「大統領やそのアドバイザーが言うことは、公共政策改正のための真剣なよりどころというより、高級別荘地でのカクテル・パーティーでのおしゃべりのように聞こえる。」

なるほど、確かに商売人のおしゃべりというのは、正しさ・厳密さ・実現可能性などお構いなしに、その場その場で適当に話を合わせるところがある。
正統的な閣僚・学者からすれば、そう聞こえるのだろう。
サマーズ氏は、米国家経済会議議長に就任したゲイリー・コーン元ゴールドマン・サックス社長兼COOの発言に噛みつく。
議長の発言を「オルタナティブ・ファクト」(でっち上げを事実と言い張る時のトランプ政権の言い訳)と称するほど厳しく、一つ一つ矛盾を突いていく。

コーン議長が、米銀の資本増強がすでに万全と主張していることについて、サマーズ氏は注意を怠るべきでないと慎重だ。

  • リーマン危機前、ベア・スターンズやリーマン・ブラザーズは資本が充実しているとFRBやBISからお墨付きを得ていた。
  • 時価総額:総資産の比が依然高いレバレッジを示唆している。

拙速な規制緩和が金融システムを再び不安定化しかねないと心配しているのだ。
サマーズ氏は、大統領の同業者がドッド・フランク法のために望むほど借金できないとこぼすことについて、こうコメントした。

「不動産屋が望む信用を得られないとすれば、いいことだ。
実際、過去40年の金融史は、不動産屋が信用供与でわくわくすると、往々にして数年後に金融危機がやってくると示唆している。」

金融規制が緩和され、サマーズ氏の同業者の商売が活発になったら、その時が黄信号ということのようだ。