ケネス・ロゴフ:ハト派の偽善と害悪

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国家は破綻する』の著書で世界各国の財政政策に大きな影響を与えたハーバード大学 Kenneth Rogoff教授が、トランポノミクスへの過度な悲観論について注意を促している。
トランポノミクスは少なくとも一時的には景気浮揚をもたらすとし、悲観論を唱える左派エコノミストを批判した。

ハト派の偽善と害悪

ロゴフ教授はProject Syndicateへの寄稿の中で、反トランプの経済学者・評論家の言動を批判した。

「左派の経済評論家の多くはオバマ政権の8年間、米政府の債務にはリスクはないと主張していたが、今になってトランプ政権による債務拡大が金融ハルマゲドンにつながると警告している。
彼らが正しい考えに近づいているにしても、その偽善にはハッとさせられる。」

世界的な政府債務拡大の問題点を訴え続けてきた教授だけに、左派の変節が目に余るのだろう。
高名な経済学者でさえ、イデオロギーによって思考や言動が歪みをきたしていると指摘する。
特に「トランプが経済の破滅をもたらすのは確実」と述べる評論家には注意しろいう。

「選挙前日New York Timesコラムニスト ポール・クルーグマンは、トランプ勝利なら株式市場は崩壊し回復は見通せないと明言していた。
クルーグマンの考えに従った投資家は大金を失った。」

3%インフレ、4%成長へ

ロゴフ教授はこうした行き過ぎた悲観論を退け、少なくともしばらくは経済が回復する可能性が高いと考えている。
トランプ政権はインフレと産出量を上昇させるのだという。
高いインフレをもたらす要因:

  • すでに完全雇用に近い中、経済刺激策がとられる
  • 保護主義が輸入物価を押し上げる
  • 中央銀行の独立性が脅かされる

により、「しばしば物価上昇率は3%を超え、少なくとも一時的には成長率も4%に届く」と予想している。

こうした強気・弱気の交錯は米国だけの話ではない。
トランプ勝利の影響を受けた日本でも徐々に強気・弱気の見方が割れ始めている。
ドル円と日本株のトランプ・ラリー(トランプ勝利後の上昇)が始まった時、特にドル円の上昇ペースが速かったために、ほとんどの人が調整・反動が起こると予想した。
それが、弱気とまではいかなくても、控えめなスタンスに結びついた。
ところが、トランプ・ラリーになかなか調整局面が訪れないと、日本人のスタンスも変わってくる。
踊り場はあっても下落はないかもしれないとの強気派が徐々に増えつつある。

(次ページ: 米国は日本化するか?)