クルーグマン:金融引き締め圧力をかけないことを祈る

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ポール・クルーグマン教授が、新設された米国家通商会議のPeter Navarro議長によるドイツ叩きを2つの側面から非難している。
ドイツとユーロを混同すべきでないとした他、他国への内政干渉となるような要求は慎むべきとの指摘だ。

ドイツ一人勝ちにナバロが噛みつく

クルーグマン教授が問題視するナバロ議長の言動はこうだ:

「ドイツは為替操作国であり、シャドウ・ドイツ・マルクとユーロの両方とも過小評価されていると攻撃している。
これが米経済外交にとって格好の標的だとの疑わしい考えは別にして、彼は正しいのだろうか?
答はYesでありNoだ。
不幸にも、『No』の部分は、米国にも関連する事柄だ。」

Yesとはどういうことか。
言うまでもなく、ドイツがマルクを使わず、ユーロを使っていることで、独経済に比べて通貨ユーロが過小評価の状態にあるという点だ。
これが、ドイツの貿易に有利に働いている。
その対極にいるのが、例えばスペインだ。
統合された経済において、こうした不均衡が解消できない場合、財政・金融政策で帳尻を合わせる必要がある。
ところが、ドイツは頑なに緊縮を主張し続けている。

ユーロ全体で見れば割安ではない

「ユーロ・システムはドイツを近隣国に対して継続的に過小評価している。
しかし、これはユーロが全体として対ドルで過小評価されていることを意味するだろうか?
おそらくそうではあるまい。」

ああ、なんとかわいそうなスペインだ。
ドイツにとってのユーロは過小評価だが、スペインにとってのユーロは過大評価。
クルーグマン教授の主張は、米国は対ドイツでは不利だが、対スペインでかたきをとっているから問題ない、というようなものだ。
スペインには気の毒だが、ドイツ対米国という構図で見れば、クルーグマン教授の指摘には一理ある。
仮に、ユーロを無理に切り上げさせれば、スペインは一層沈んでしまう。
クルーグマン教授は、ユーロが全体として安い理由をこう説明する:

「ユーロが弱いのは、欧州における投資機会が乏しいと投資家が見ているためだ。
その理由はある程度、不利な人口動態、米国におけるよりよい機会にある。」

(次ページ: ドイツを日本に置き換えると)