クルーグマン:小幅な経済成長と産業空洞化が起こる

ポール・クルーグマン教授が、1年前ほどではないとしながら、FRB利上げは間違いだと批判した。
返す刀でトランポノミクスを批判し、レーガノミクスによる経済悪化の二の舞になると警告した。

クルーグマン教授はNew York Timesのコラムで、拡張的な金融・財政政策の必要性を訴えた。
経済環境が改善していることを認めたものの、「主に予防的な目的から」必要だという。

「(経済が)悪化した場合のコストは予期せぬ改善に比べてはるかに小さい。
悪化してしまっても、有効な政策対応がとれないからだ。」

昨年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切った時、FRBは今年4回の利上げを想定していた。
しかし、今年の利上げは先週の1回だけ。
利上げ幅は合計で50ベーシスに過ぎない。
今、経済が悪化しても、FRBにはわずか50ベーシスの利下げ余地しかない。
だから、何が何でも経済を悪化させないことが重要だ、というのがクルーグマン教授の言い分だ。
教授は金融政策だけでなく、「インフラ支出のための控えめな財政赤字の増大(おそらく1-2ポイント)を歓迎したい」とも書いている。

クルーグマン教授の矛先はFRBからトランプ次期大統領に移る。
トランプ氏の財政政策は蓋を開ければインフラ支出にもサプライ・サイドにも向かわず、金持ち・企業の減税に終わるのではないかと批判し、副作用の大きさを指摘する。

「トランプ氏が増大させる財政赤字はたいして経済を成長させない。
金利は上昇し、大きなクラウディング・アウトが起こる。
さらに、レーガン政権時のように、ドル高と貿易赤字拡大が進む。」

レーガン政権の前半、クルーグマン教授が言うようにドル高が進み貿易赤字が拡大した。
ドル相場の不安定化を恐れる先進各国は1985年プラザ合意に至り、状況は反転した。
その後、米経済は1980年終盤までバブルを膨らませることになる。
教授は不吉な予想を書いている。

「ありそうな見通しは、たいしたことのない経済成長と産業空洞化ではないか。
人々があまり予想していないことだ。」