クルーグマン:いつか米ドルは大きく調整する

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ポール・クルーグマン教授が、関税の貿易赤字縮小効果を検証している。
貿易赤字を永遠に続けることはできないとし、いつか米ドル安によって米貿易収支が反転する時が来ると解説した。

砂を噛むような経済分析

クルーグマン教授がNew York Timesのコラムで、士気をくじかれそうだと漏らしている。
「分析・証拠・いかなる真実にも完全に関心のない政府ができるのに、経済分析へのモチベーションを維持するのは難しい」からだ。
それでも教授は力を振り絞り、悪夢からしばし解放されるための「セラピー」として経済分析に努めるとし

「権力は現実に関心がなくとも、それ以外の我々は、物事がどう機能するのかに関心を持っている。」

と意地を見せている。
前回の議論は自由貿易と雇用だった。
今回の議論は、保護主義と貿易赤字である。

付加価値税は貿易・為替に無関係

クルーグマン教授は、まず付加価値税が貿易に与える影響を論じる。

  • 輸入については、輸出国で生じた付加価値に対する付加価値税を課す。
  • 輸出については、本国で生じた付加価値に対する付加価値税を返戻する。

教授は、こうした付加価値税の効果を輸入関税と輸出補助金ととらえるのは間違いだとし、一次近似では貿易に全く影響を与えないと書いている。

  • 輸入では、輸入品は付加価値税相当額を輸入時に課されるし、国内製品は付加価値が生じるごとに付加価値税を課される。
  • 輸出では、輸出品は付加価値税相当額を戻されているので付加価値税負担がないし、現地製品にはそもそも付加価値税がかからない。

つまり、国内市場でも海外市場でも付加価値税の負担について不公平が生じることはないのだ。

「要するに、付加価値税は保護主義ではなく、為替レートの変化さえもたらさない。」

というのがクルーグマン教授の結論だ。

(次ページ: 関税は貿易収支を改善するか?)