クルーグマン教授の言うことがコロコロ変わるワケ

ポール・クルーグマン教授が、「言うことがコロコロ変わるじゃないか」との批判に反論している。
政治とは、いずこも同じ低俗な口喧嘩だ。

クルーグマン教授はNew York Timesに寄せたブログ記事で、IS-LMモデルにゼロ金利制約を加味した修正IS-LMモデルを用いて、自己の主張の変化の理由を説明した。

修正IS-LMモデル

リーマン危機後の2010年、LM曲線はどっぷりとゼロ金利制約を受け流動性の罠に陥っていた。
こうした場合、総需要を増やすような政策をとっても、金利は上がらない。
市場金利は縦軸(FF金利。横ばい)の影響下にあり、総需要を増やすような政策をとっても市場金利はほとんど変化しない。
換言すれば、クラウディング・アウトは起こらない。

「こうした世界では、分別は愚かで、美徳は悪徳になる。
支出増につながるすべてのことが善行なのだ。」

とクルーグマン教授は考え、オバマ政権下での財政拡大を主張したのだと言う。
その教授が、トランポノミクスの財政拡大にはいい顔をしない。
教授は、事態が変化したという。
労働市場は完全雇用に近いところまで回復し、FRBは利上げを始め、LMカーブは立ち上がり始め、正常化のスタートラインを越えたところだと指摘する。

「だからこそ、FRBは現状を維持し、保険のために財政政策をいくらか用いるべきと言っている。
超低金利は大規模なインフラ支出のチャンスだろう。
しかし、(2010年とは)状況は異なるのだ。」

と事態の変化を強調する。
これは一面において真実だろう。
確かに状況は変化している。
しかし、それだけではない。
それは、クルーグマン教授のステレオ・タイプな色分けを見ればよくわかる。

「進歩主義のエコノミストがオバマ政権の財政赤字について言ったのと異なることをトランプ政権の財政赤字について言うなら、それは状況が変化したためだ。
共和党が財政に責任を持つふりをしていた時、財政政策の必要性を主張するために(進歩主義のエコノミストによって)用いられた経済モデルは、通常の状況に戻った今、もう財政赤字がいいものでないと示しているのだ。」

言いたいことはよくわかる。
共和党とは、在野の時には建前どおり財政規律を唱え、政権をとるとだらしなく財政赤字を増やす傾向がある。
とは言え、口喧嘩としてはどっちもどっちといった感じだ。
クルーグマン教授のブログは、やはり「Wonkish」でないとつまらない。