エラリアン:金が安全資産に戻る時は遠くない

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独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏によれば、金の安全資産としてのステータスが低下しているという。
しかし、それはいつまでも続くとは限らず、あるきっかけで再び安全資産として買われる可能性もあると話す。

『そろそろ』という瞬間を辛抱強く待ってきた金の投資家は、最近の地政学的緊張に反応した金価格上昇に肩をなでおろしているだろう。
しかし、金の反応や価格は歴史的に用いてきたモデルからの予想より弱いように見える。
これには理解できる理由がある。
安全資産としての貴金属の地位は、非伝統的金融政策や仮想通貨市場の成長の影響で浸食されているのだ。

エラリアン氏はBloombergへの寄稿で、リスク・オフの金買いの退潮の原因を金融政策と仮想通貨に求めている。
長期的に見ると、金価格は今世紀に入って大きく上昇した後、2011年をピークにさえない推移を続けている。

金価格
金価格

金価格(近時)
金価格(近時)

近時を見ると、米大統領選後の株高・ドル高局面で売られたものの、トランプ相場が息切れし逆転した年初からは回復の兆しを見せている。
今週の米朝の緊張激化でも安全資産の片鱗を見せる展開があった。

しかし、エラリアン氏によれば、金の安全資産としてのステータスは2つの理由から低下しているのだという。

  • 長期間にわたる非伝統的金融政策が資産価格とファンダメンタルズを乖離させてしまったため、過去のモデルほどショックに対して株式等は下落せず、金等は上昇しなくなった。
  • 従来は金に投資していた投資家の一部が拡大する仮想通貨市場に流れた。
    この流入もあって、仮想通貨市場のリターンは現状高水準にあり、これがさらに金からの移動を誘っている。

エラリアン氏は、ここから得られる投資家へのインプリケーションを2点説明する。

  • 金は現状リスクを(満足できるほど)低減できないし分散効果も発揮できない。
  • リスク低減や分散効果は、流動性相場による高リターン・低ボラティリティの中で現状あまり求められていない。

エラリアン氏は、投資対象としての金の将来を予想する。

「金の安全資産としての地位回復はありえないわけではない。
ついに各国中央銀行は非伝統的金融政策への依存の後半に入った。
今年の仮想通貨の目覚ましい上昇を見る限り、仮想通貨の方が乱気流のエア・ポケットに陥る危険性が高い。」

このロジックを見ると、ある投資戦略が頭に浮かぶ。
仮想通貨はまだ上昇するかもしれないし、デリバティブ市場も発達していない。
しかし、エラリアン氏が言うように、仮想通貨のほとんどは将来大きな下落を迎える可能性が大きいように見える。
ならば、仮想通貨をショートするかわりに金をロングするような方法もありうるかもしれない。