エラリアン:遠のく成長志向の政策

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独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏は、白人至上主義者への肩入れと聞こえるトランプ大統領の発言に懸念を呈している。
経済政策以外の分野で対立が深まれば、国民が期待した経済政策の実施が難しくなるという。

「君たちがオルト右翼と言う時・・・
オーケー、オルト右翼に突撃していったオルト左翼はどうなんだ?
彼らに反省の姿勢は見られるか?」

これは英BBCが伝えた15日のトランプ大統領の発言だ。
信条の異なる生身の人間の群れに猛スピードの鉄の塊で突っ込む者が起こした事件に対し、いまだに被害者側の落ち度を問うているのだ。
前日14日にはKKKや白人至上主義を批判して見せた大統領だが、この人物の心底には彼らと似たような考えが流れているのだろう。

こうしたトランプ大統領の振る舞いにエラリアン氏は嘆き、政治・経済への波及を懸念する。
大統領の抗議者側を責める発言は、世間の関心を再び差別やスティーブ・バノンの処遇に戻してしまった。


Trump diverted away from infrastructure event: Allianz’s Mohamed El-Erian from CNBC.

こうしたすべてのことが、声明の本来の目的から関心を逸らしてしまう。
多くの人から支持を受けているインフラ、雇用や賃金の話だ。

米国が人種間の平等の議論を優先するのは当然のことだ。
(本質において、これは万国共通であるべき。)
人種のるつぼとも呼ばれる国にとって、この問題は国・社会のあり方の根本にかかわる。
その当然の優先順位づけが経済にはマイナスに働く。
大統領府と議会共和党でほぼ歩調が合ってきている経済政策でさえ前に進めなくなる。
エラリアン氏は頓挫したヘルスケア法案についてコメントした。

「この法案は最も広く支持を集めていたものだった。
国民は手続きの簡素化を求めていた。
国民は体制の改善を求めていた。
オバマ前大統領が望んでいたことと言う人もいた。
議会で広い支持を集めていた法案が通せなくて、どうやってより複雑な法案が通るのか?」

ポピュリズムを操り権力を握る者は往々にして民族主義者などを取り込み勢力を拡大する。
おそらく本人もそうした思想に共感しているのだろう。
しかし、ひとたび権力を握ると、その民族主義が手かせ足かせとなる。
選挙時には経済第一と言いながら、民族主義が優先されれば、当然に支持を失う。
そして、みんなが期待した経済政策さえ実現が危ぶまれるようになる。