エラリアン:謎は続く

独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏が、昨日金融チャンネルで言及した債券・株式市場の食い違いについて、Bloombergに寄稿している。
背景には地政学リスクと経済政策に対する各市場の捉え方の相違があるという。

昨日のエラリアン氏の結論は「株も債券も高すぎる」というものだった(債券は利回りが低すぎる)。
あたかもリスク・オンとリスク・オフが共存しているかのようだ。

S&P 500指数(青、左軸)と米長期金利(赤、右軸)
S&P 500指数(青、左軸)と米長期金利(赤、右軸)

近時さまざまな政治的・地政学的リスクをものともせずに上昇した米株価について、エラリアン氏はこう振り返る。

「投資家は安定成長・中央銀行の支援・さらなる流動性供給についての市場の信仰に深く依存してきた。
結果、強い企業収益・経済成長の見通しを地政学的流動性に対する対価と捉えている。」

つまり、株式市場はハイリスク・ハイリターンを追うリスク・オンの道を選択したのだ。
ところが債券は異なる判断を下した。
先行きの金融環境を心配し、リスク・オフを選択している。

この食い違いについてはいくつも説明が考えられるとエラリアン氏は指摘する。
例えば、相場のテクニカル要因などに原因を求める考えだ。
しかし、エラリアン氏はより本質的と考えられる理由をもう一つ挙げる。

「実際、2つの競合する市場シグナルを現時点で埋め合わせる唯一の適切な考え方は、FRB側が金融政策を緩和側に回帰させるという見通しだ。」

FRBが金融緩和に転じると予想するなら株が上がるのは当然だし、債券利回りが下がる(=債券価格が上がる)のもうなづけるというわけだ。
しかし、エラリアン氏は経済停滞なしにFRBが金融緩和に回帰するのは考えにくいという。
依然、市場は年内数回の利上げを予想しているし、最近では年内のバランスシート正常化着手さえ俎上に上がり始めた。
現時点でのエラリアン氏の結論は《間をとる》ということらしい。
つまり、株が下がり、債券利回りが上がるというもの。
間のどこに落ち着くかは2つの力のせめぎあいだという。

  • 地政学的リスクがどれだけ成長見通しに逆風に働くか
  • 米政策改革が現実の、あるいは潜在的な成長見通しをどれだけ改善するか

エラリアン氏は、まだまだ落ち着かない日々が続くだろうと示唆している。

「しばらくは、投資家は持続する市場の食い違いにますます心配しなければならないだろう。」