エラリアン:政権が期待に追いついていない

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ドナルド・トランプ大統領による一般教書演説が、予想されたこととは言え、投資家のフラストレーションを掻き立てている。
明らかにお行儀がよくなった大統領だが、演説の内容に予めふかしてきた具体性がともなっていなかったからだ。

独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏もその一人。
Bloombergへの寄稿で、具体的な実現策を求めている。
エラリアン氏は、演説そのもののについてこう評価している。

「(演説は)広い範囲をカバーし、国家主義的なトーン、大統領らしい話ぶりだった。
大統領は選挙中に提唱し11月8日の選挙以来繰り返してきた多くのテーマを繰り返した。
・・・
しかし、大統領がどのような具体的な政策をとりたいのか、(必要な)資金をどうねん出するのか、いつ実行するのかの詳細には触れなかった。」

では、これが市場動向にとって意味するところとは何か。
エラリアン氏は、史上最高値更新を続ける米国株市場について、トランポノミクスの多くを織り込み済みと見ている。
市場は、トランプ大統領の「言い換え」を歓迎するだろうが、いつまでも忍耐が続くとは限らないという。
政権は早期にHowとWhenの呈示をすべきと示唆する。

エラリアン氏は一般教書演説直前のBloomberg番組で、グリーンスパン・プットから始まるFRBによる株価下支え策をトランプ・プットが置き換えようとしていると指摘する。
経済刺激策の主役が金融政策から財政政策に移りつつあるからだ。

「これまで私たちは中央銀行プットを与えられてきた。
市場は中央銀行プットを好み、理解してきた。
中央銀行は政策について比較的高い独立性を与えられているからだ。」

アラン・グリーンスパン氏はFRB議長時代、巧みな金融緩和のさじ加減で資産価格の上昇を維持してきた。
FRBは政府から独立した意思決定をするとの建前だから、歴代議長が資産価格の下支えという方針を継承するうちは資産価格の下落余地は大きくなかった。
市場はFRBの意図を理解し、その恩恵を享受してきた。
しかし、FRBが金融引き締めに転じた今、その保証は揺らいでいる。

しかも、トランプ・プットはイエレン・プットより不確実性が高い。
大統領職はそうそう独立性の高い立場ではない。

「米国が本当に大統領プットに移行するなら、状況は大きく変化する。
トランプ大統領は議会の協力が必要であり、政治的立ち回りがより重要になる。」