エラリアン:押し目買いの条件反射

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独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏が、さまざまなリスクの高まりにもかかわらず上昇を続ける株式市場について解説している。
市場はリスクをオポチュニティーと捉える傾向があるが、その解釈は徐々に厳しくなりつつあるように見える。

「NASDAQ指数が特に上昇したのはバイオ・セクターでの2つの特定の要因による8%上昇によるものだ。
この2つの要因は、週の最も不確実な経済的・地政学的な動向からNASDAQ指数を切り離した。
その2つとは新たな企業のM&Aと有望な技術革新(つまり画期的遺伝子治療のFDA承認)である。」

エラリアン氏がYahoo Financeで、先週の米国株上昇の要因をこう分析した。
米経済はいくつか現実的・潜在的な打撃を受けていたはずだった。
北朝鮮をめぐる緊張、市場予想に届かなかった雇用統計、甚大なハリケーン被害などだ。
それでも先週NASDAQ指数は2.71%、S&P指数は1.37%上昇した。

米国株の年初来の週次株価指数(S&P 500、NASDAQ)
米国株の年初来の週次株価指数(S&P 500、NASDAQ)

この週、市場を支える要因もいくつかあった。
世界経済の改善、中央銀行の引き締めへの柔軟な対応への期待などだ。
こうした好材料が米国株を逆風下でも押し上げ、さらにバイオ・セクターがNASDAQを押し上げた。

今しばらくはこうした力が働き、投資家・トレーダーは押し目買い、実質的にすべての押し目で買うような条件付けがされてきた。
実際、上昇する資産価格が相対的に鈍いファンダメンタルズからすでに乖離しているにもかかわらず、多くのプロがいつ起こってもおかしくないと考えている市場調整が起こるには大きな持続的なマイナスのショックが必要となるようだ。

エラリアン氏は不運だった。

「ハリケーンの後始末のために大規模な再建が期待され、市場は北朝鮮の行動・言動が核戦争に直面しないと信じているため、今週は(市場調整を)もたらさなかった。
結果、以前の押し目は、少なくとも今のところは、利益をもたらしてくれる買いの好機となった。」

と書いている。
寄稿の日付は2日(土曜日)。
その翌日、北朝鮮はICBMへの搭載が可能な水爆の実験を実施した。
米朝の緊張はエスカレートするばかりであり、日本もその片棒を稼いでいる。
現状、深刻視する市場関係者はほとんどいないが、ショックはどんどん大きく、持続的になっているように見える。