エラリアン:失敗を悲しむのは早計

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独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏が、オバマケア代替法案の頓挫が市場に与える影響を解説した。
2つのシナリオを呈示し、いずれが実現するかで市場環境は大きく異なるという。

米市場の楽観ぶりはあいかわらずだ。
トランプ政権・共和党は24日、オバマケア代替法案の議会通過を断念、同法案を撤回した。
大統領府・上下両院を共和党が支配する中、共和党が特に目の敵にしてきたオバマケアを廃止できない。
米政治はねじれが解消されたとの期待が高かったが、現実はそうではなかった。

問題は、こうした党内のねじれが経済政策にどう影響するのかだ。
市場が最も期待を寄せてきたのが減税。
法人減税の株価押し上げ効果はかなり直接的だ。
共和党内のコンセンサスが高いとされる政策だが、同じくコンセンサスが高いとされてきたオバマケア廃止がいったん後退してしまった。
減税の実現性は低下した、あるいは、予想より長い時間を要するとの類推が働くのは当然だ。

大統領選挙後のトランプ・ラリーは一本調子に近いものだった。
慎重派だけでなく、強気派もどこかで調整が入るとの見方を示していた。
この1週間あまりは、下落に転じるのではないかと心配させるような下げも見られた。
しかし、その幅は小さい。
米市場で「調整」と言えば1割程度の下げを言うらしいから、調整はまだ起こっていないとも言える。

2016年11月以降の米主要3株価指数

慎重派の心配は、市場が過度な期待を抱いているというものだった。
トランポノミクスの明るい面だけを見て目いっぱいに株価に織り込んでいるのではないかというものだ。
エラリアン氏もその一人。
市場の思い込みが株価上昇を支えていると指摘していた。
その思い込みは、政権がオバマケア廃止に失敗しても揺らがなかったようだ。
24日の米国株の下げは小幅にとどまり、米ドル相場も底堅かった。

エラリアン氏はBloombergへの寄稿で、米政治の今後について2つのシナリオを想定している:

  • トランプ政権と共和党内のねじれが政策の法制化を阻害し、市場が期待してきた政策が実施されない、または、大きく遅れる。
  • 政権と共和党が今回の失敗に学び協調姿勢を強め、経済政策を実現していく。

この後者のシナリオこそ、堅調な株式・ドルの相場を解説するものであり、米市場のあくまで楽観的なスタンスを表している。
エラリアン氏は、いずれのシナリオが実現するかによって、今後数週間の株式市場の動向は大きく異なってくるとし、警戒を怠るなという。

「市場参加者は、潜在的なリスク要因の分析を磨き上げなければいけない。
そのリスクは、ゆうに米国外にも及ぶはずだ。
第一の例として、これまで長い間強く抑制されてきた価格のボラティリティの上昇という形で反映されるだろう。」