ウェルズ・ファーゴ:債券はバブルじゃない

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米金融大手Wells FargoがS&P 500指数の年末予想を引き上げた。
従前2,230-2,330としていたのを2,300-2,400に約3%の引き上げ。

「年初わが社では、投資家が2018年にインフレと金利の上昇に悩まされる可能性があると心配していた。
しかし、わが社の新たな(より緩やかな)インフレ予想では、以前予想されていたよりS&P 500のダウンサイドは少ないと示唆される。」

ウェルズ・ファーゴのPaul Christopher氏は、米経済の先行きがゴルディロックスを続けると見て年末のS&P 500予想を引き上げた。
すでに米国株は年初より上昇しており、22日終値は2,452.51。
これに比べると見直し後の予想でも小幅の下落を見込んでいることになる。
ウェルズ・ファーゴによるEPS予想は129ドル。
年末のPERは17.8-18.6と見られていることになる。

S&P 500指数(青、左)、米10年ブレークイーブン・インフレ率(赤、右)、米長期金利(緑、右)
S&P 500指数(青、左)、米10年ブレークイーブン・インフレ率(赤、右)、米長期金利(緑、右)

米大統領選後、米国のインフレと金利は力強く上昇に転じるかのように見えた。
ところが上昇を続けたのは株式ばかりだった。
本来なら、上げ渋るインフレや金利は(特にリフレを標榜する米国においては)脆弱な経済を示唆するものであったはずだ。
しかし、楽観的な米市場はこれをちょうどいいぬるま湯と捉えて高値を追い続けた。

米国の人口動態のトレンドは、大きな移民流入増がない限り変化しそうにない。
債務レベルは今後10年も悪化するだろう。
よって、生産性向上のトレンドが反転しないかぎり『グリーンスパンの債券バブル』の恐怖は見当違いだ。

市場は経済の足元を見ている。
米経済が潜在成長率を向上させるための生産性向上は実現しないとして、ここちよい低金利が続くと踏んでいるのだ。
インフレや金利が上昇しないなら企業収益にはプラスであり、理論価格を計算する上での割引率は小さいままだ。

単にPERが18倍と聞けば、それをひどく割高と考える人はいまい。
しかし、ゴルディロックスが史上最高値に値するかと問えば、疑問符がついてくる。
顧客に予想を示し投資推奨をする立場の人にとって、ここからさらに上がると言い続けるのには相応の勇気が必要だ。

「小型株のバリュエーションは歴史的水準に比べストレッチになっている。
投資家には中型株を横ばい、小型株をアンダーウェイトすることを勧める。」

金融のプロがセクター選別・銘柄選別の勧めを強める時、それは市場全体の上昇が一服するとの予想を反映したものであることが多い。