アスワス・ダモダラン:分散投資が効かない

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ニューヨーク大学Aswath Damodaran教授が、ロバート・シラー教授の投資推奨に対してダメ出しした。
米国株の割高感からシラー教授は海外株式などへの分散を推奨したが、それではリスクを避けられないという。

「賛成するのは分散を強化しろという点。
しかし、賛成できないのは、市場がクラッシュした場合にどうやって分散が身を守ってくれるのかという点だ。」

ダモダラン教授は、分散投資がリスク軽減に役立たなくなっている現状を指摘している。
資産クラス間の相関はますます強まり、しかも順相関にある。
どこかで暴落が始まれば、他の資産クラスでも暴落が起こりうる。

「今は、米国株が40%下げた間に欧州株が10%上げた1980年代ではない。
米国がクラッシュすれば、みんなクラッシュする。
分散投資はそのリスクを取り払ってはくれない。」

世界経済が密接に関連していることはリーマン危機で目の当たりにしたとおりだ。
どこかで大暴落が起こってしまうと、相関がないと考えられていた資産クラスまで下落が及ぶことも、私たちは経験済みだ。
資産価値の下落を被りたくなければ、資産を売却するしかない。
しかし、それがまた資産市場の下落スピードを上げてしまう。

価格下落の痛みを被りたくなければ、資産を売り払うしかない。
しかし、いつ下落するかを予想し的中させるのは至難の業だ。
結果、リスク回避にはおおきな代償がともなう。

「市場から出てしまうことのコストは、次のクラッシュから回避するベネフィットを往々にして上回ってしまう。」

市場から出てしまうことのコストとは、さらなる上昇の恩恵を受け損ねることだ。
電車から早く降りすぎれば、クラッシュでの実損より大きな機会損失を被りかねないのだ。
その大小を事前に知ることはもちろんできない。
ダモダラン教授は投資家に自問を勧めている。

「調整がいつ、どうやって、どんな形でやってくるかわからない時に、それを回避するためポートフォリオを実際に組みかえる価値はあるのか?」

教授はマーケット・タイミングが可能だとは思っていない。
少なくとも自分には不可能と考えている。
市場の動きを予想し的中できないなら、時としてこうした考えが判断基準になるのかもしれない。