【Wonkish】佐々木融氏:実質金利低下が株高の主因

JP Morganの佐々木融氏が、テレビ東京の番組で、現在の市場にとってのリスク要因を列挙していた。
主に海外の政治的要因であったが、あらためて潜在的なリスクの大きさが感じられるものだった。

佐々木氏は、こうした多くのリスクの中でなぜ米国株が史上最高値を続けているのかと尋ねられ、こう答えている。

「株価が全体的に強いのは、世界で実質金利が下がっているのが大きい。
期待インフレ率が徐々に上がる中で名目金利は上がらない。
実質金利がかつてなく下がってきている。」

この答は正しい。
ただし、果たして素人にもロジックがすんなり入ってくるだろうか。
このロジックを整理しておこう。

 実質金利 = 名目金利 ― 期待インフレ率

だから、佐々木氏が語った内容は正しい。
では、実質金利が下がるとなぜ株が上がるのか。

DCFでもなんでもいいから、株価評価モデルを思い出そう。
そこに使われているのは普通は名目金利だ。
私たちは名目の世界に生きているので、株価評価モデルには実質金利など関係ないのだ。

もちろん、株価評価モデルを名目ベースではなく実質ベースで組み立てることもできる。
仮にDCFを実質金利で行う場合、将来のキャッシュフローも実質価値で計算しなければいけない。
(将来のキャッシュフローからインフレ部分を除外しなければいけない。)
今、名目金利が大きく動かない中、期待インフレ率が上昇したため実質金利が下落した。
そうすると、実質金利の下落によるプラス分と期待インフレ率の上昇によるマイナス分が釣り合うはずだ。
つまり、実質金利の低下が株価上昇をもたらすとする説明は成り立たないことになる。

しかし、現実に、実質金利が下がると資産価格が上昇するとの説明は正しい。
何が起こっているのか。
この原因にはいくつか可能性が考えられる。

  • 消費者物価と資産価格ではインフレの進み方が異なるように、インフレは一様でない。
  • 市場の名目金利が歪められている。

実質金利、インフレ、名目金利のいずれを甘くみても資産価格計算は甘く出る。
結果、資産価格が行きすぎたり、将来火を噴く事業プロジェクトが実行されたりする。

佐々木氏は番組で

「ちょっとバブル的症状なのかなという感じはする。」

と語っていた。
これもロジックとして正しい。
一方で、米国株はともかく、日本株にはバブルのバの字も感じられない。
この先、仮に米国株がバブルの領域に入っていくとしたら、日本株もいずれ引きずり込まれるだろう。
日本株がバブルになるとはどういうパスによるものなのだろうか。
株価が急騰するのか、逆に企業収益が急減するのか、あるいは金利が急騰するのか、インフレが急騰するのか。