日本銀行

【輪郭】物価と景気のベクトルが語る金融政策の賞味期限

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リフレ派の主張とは確かインフレになれば経済が回復するというものだった。
26-27日の日銀金融政策決定会合での物価・景気の判断によっては、この中心的命題について疑念が深まるかもしれない。(浜町SCI)

日銀の1月の展望レポートでは、物価と景気について次のような見通しが示されている。

消費者物価指数 0.8 – 1.6%<中央値 1.5%>
実質GDP 1.3 – 1.6%<中央値 1.5%>
出典: 日本銀行 『経済・物価情勢の展望(2017年1月)、対前年比

足元の景況感の改善から、今月の金融政策決定会合で景気総括判断が上昇修正されるとの観測が強まっている。
輸出・生産が好調なほか、3月の日銀短観でも企業の景況感は改善している。
1月の展望レポートの中央値1.5%も夢ではなくなったかもしれない。

一方で、物価の方は低調だ。
近時のコアCPIはかろうじて水面上に出た程度。
展望レポートで示された中央値1.5%は展望ならぬ願望でしかない。
2017年もひと月ひと月経るごとに、こちらを下方修正すべきとの意見も出てきてしかるべきだろう。
仮に下方修正するとなれば、なんとも印象の悪い見直しとなる。

もちろん、短い期間をとらえて見通しを逆方向に変更したからといって、それが決定的な意味をもつわけではない。
しかし、物価は低下したままなのに景気は改善したという話は、極めて奇妙に聞こえる。
物価上昇こそが特効薬と言われてきたのに、物価上昇はゼロ近傍でも景気は改善するように解釈できるからだ。
そうでなくても、物価と景気の関係について、日本は特殊な要因を抱えているとの指摘は多い。

日銀は物価と景気のベクトルの違いを認めるだろうか。
もしも真摯に認めるならば、次に来るのは量的緩和への柔軟な対応だろう。
特に禍根を残しやすい株式ETFの買入れについては見直しの筆頭に挙がる可能性が高いと考えるべきではないか。


山田泰史山田 泰史 横浜銀行、クレディスイスファーストボストン、みずほ証券、投資ファンド、電機メーカーを経て浜町SCI調査部所属
東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修了 理学修士、ミシガン大学修士課程修了 MBA、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員

本コラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。本コラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。本コラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。本コラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。本コラムはコラムニストの見解・分析であって、浜町SCIの見解・分析ではありません。