【輪郭】イールド・カーブ・フラット化の意味

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米長期金利が上がらず、イールド・カーブがフラット化しているとみんなが騒いでいる。
ここでは、騒がれている理由、それら現象の原因について仮説を列挙してみよう。(浜町SCI)

FRBが引き締めを急いでいる。
FF金利引き上げはともかく、バランスシート縮小まで早期に開始しようとしている。
従来ハト派を貫いてきたFRBが、なぜここでこれまで引き締めを急ぐのだろう。
引き締めを急ぐ必要性として考えられるポイントは3つある:

× インフレ過熱を防ぎたい

これはあるまい。
現状、消費者物価指数という形でのインフレ過熱は見られない。
むしろ、インフレはFRBが望む状態を下回っている。
最近の原油相場の軟化を考えればなおさらだ。

ブレークイーブン・インフレ率(10年、青)とコアコアCPI(都市部、赤)

△ 景気停滞が始まる前に緩和余地を作っておきたい

これは的を射た解説だろう。
米景気回復が9年目に入る今、いつ経済が周期的な停滞期に入ってもおかしくない。
その時に利下げ幅が十分にないと、金融政策による経済安定化が不十分に終わる懸念がある。
経験的には3%以上の利下げが必要とされるが、現在のFF金利誘導目標は1-1.25%でしかない。
次に景気停滞が来れば、FRBはすぐさまゼロ金利制約につかまってしまう。

この説明は正しいものの、十分とは言えない。
FRBがバランスシート縮小まで急ぐ理由を説明できていないからだ。

〇 資産インフレ過熱への懸念

米経済は過去四半世紀、金融緩和と資産価格上昇、その後の急落というサイクルを繰り返している。
過去9年の非伝統的金融緩和は、資産価格急落後の混乱を収拾するために採用されてきた。
今、米経済は完全雇用に近いと言われるなど、少なくとも混乱期は脱している。
一方で、資産価格は株式を筆頭に歴史的な高値圏にある。
これが再び金融安定を脅かすとすれば、過去9年の金融緩和は何だったのかという話になる。

こうした解釈ならば、バランスシート縮小を急ぐ意味も理解できる。
バランスシート縮小はQEの巻き戻しであるため、より長期の金利へ影響すると考えられる。
短期のFF金利よりはるかに資産価格に効きやすい。

(次ページ: 右肩下がりのイールド・カーブは凶兆)