【書評】現代日本経済史年表 1868-2015年

米ドル
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明治元年以来の日本経済史の年表。
年表とともに時代、時代の経済・社会を振り返っている。

経済・金融の世界に大きな変化が起こるかもしれない。
米国では8年ぶりに左派から右派へと大統領が変わり、しかも、新大統領は米国の歴史を振り返っても極めて独特な人間性・経歴だ。
市場参加者は、困難と知りながらも、未来を予想しようともがいている。
その時に第一に試みるのが《温故知新》であろう。
尋ねるべき古き時代はいつだろうか。
多くの人が1981年から始まったレーガン政権との類似性に着目している。

本書では、レーガノミクスをこう振り返っている。

「レーガノミックスは、米国産業を利益の大きい軍需産業に傾斜させ、大幅な減税によって生まれた民需部門の需要に米国産業が対応できず、日本の集中豪雨的輸出を許し、日本経済の輸出依存的経済構造を維持・拡大する結果となった。
日本は、世界的停滞の下で1974-75年恐慌以来の長期不況を乗切り、対米輸出の激増、国際収支の大幅黒字を得、その基礎上に輸出依存的経済構造を維持して80年代の経済発展をもたらした。」

似ているところもあり、似ていないところもあり。
トランプ大統領が軍拡を公言している以上、米産業が防衛に傾斜する可能性は高い。
移民政策の引き締めも公約しているから、供給面の制約も大きいだろう。
結果、米国内では需要を賄うことができず、輸入に頼らざるをえなくなるかもしれない。
日本には、対米輸出や米国以外への部品等の輸出を拡大するチャンスがやってくるかもしれない。

結果、レーガノミクスは持続的なドル高を招き、G5はプラザ合意によってドル高を修正することとなる。

本書によれば、この時期、日本の金融市場は肥大化が進んだのだといい、5つの要因が挙げられている:

  1. 企業の資金調達が間接金融から直接金融にシフト
  2. 「大蔵省=日銀が85年のプラザ合意以降米国からの圧力で80年代末まで超金融緩和政策を継続」
  3. 金融自由化
  4. 金融国際化
  5. 銀行の貸付積極化

本書では、この時期の「金融活動の肥大化が80年代後半のバブル景気を演出した」とし、「実体経済と乖離を深めて日本経済を『投機性の強い資本主義』に傾倒させた」と振り返っている。
では、こうした5つの要因は現在にも当てはまるだろうか。

  1. 直接金融へのシフト: 済み
  2. 超金融緩和政策: すでに継続中
  3. 金融自由化: 異次元緩和により一歩後退中
  4. 金融国際化: 済み
  5. 銀行の貸付積極化: まだ始まっていない

今後、5要因すべてが満たされる可能性は高いのではないか。
景気の回復基調が鮮明になってくれば、銀行も貸付を積極化し、日銀も市場への過度な干渉をやめるだろう。
これらは、異次元緩和の出口あたりで起こることだ。
異次元緩和の出口近くでは、バブルがやってくることになるのだろうか。

この本の使い方とは、たとえばこんな具合なのではないか。