【書評】中央銀行は持ちこたえられるか

日本銀行

日本総合研究所の河村小百合氏による、日本の財政・金融政策破綻の予言書。
「忍び寄る『経済敗戦』の足音」との副題がついている。

新書であり、税込820円と安価であることから、読み始めるまで正直のところさほど期待していたわけではなかった。
しかし、この本はいい意味でのサプライズだった。
テーマを包括的かつ丁寧に論じており、紙幅の制限の中で、きちんと事例やデータを呈示している。
日本の財政や金融政策が行き詰った場合に何が起こるのか、それを考えるための材料を与えてくれる本だ。

一例を挙げるなら、河村氏は「債務調整」について説明している。
国が財政危機に陥った場合、その状況を打開するための債務リストラの方法であり、2種類に分類する:

  • 連続的な債務調整: 長期間にわたって国民に高い負担を課す高インフレや金融抑圧など
  • 非連続的な債務調整: デフォルトやリスケ、国債費以外の歳出カットなど

こうした論点・分類・事例が丁寧に書かれている。
本書自体が日本を含む各国の運命を詳細に予言しているわけではない。
(暗示はされている。)
誰かがそうした予想をしたい時に本書を読めば、必要な基礎知識はすべて揃う。

FRBは金融政策の転換を本格化させようとしている。
日欧は量的緩和を続けているとは言え、毎日、一日ずつゴールに近づいていることは間違いない。
世の中では、出口を占おうという試みがますます増えつつある。
日銀は出口はおろかテイパリングについてさえ口をつぐんでいるが、投資家はそうはいかない。
最善の道、まあまあの道、ありえない道があるとすれば、3つ目だけには進まないようにするのは当然だ。