日本銀行

【メモ】金融抑圧からの解放

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金融抑圧に関する記事を掲載すると大きな反響をいただくのだが、同時に(弊社コンサルティング部の)顧客から多くのご質問を受けることになる。
本日もThe Financial Pointerで金融抑圧についての記事を掲載したので、ご質問を受ける前に若干補足しておこう。(浜町SCI)

金融抑圧とは実質金利をマイナス圏に押し下げる政策だ。

日米の物価連動国債の利回り(7年)
日米の物価連動国債の利回り(7年)

これについてよく尋ねられる質問を3つ挙げておこう。

Q1. 金融抑圧とは何を目的としたものなのか?

金融抑圧をある状態として定義した場合、強度の金融緩和によって金融抑圧が意図せずして起こってしまうことがありうる。
しかし、「金融抑圧」という言葉を使う場合、そうした偶発的な状態を指すものでないことがほとんどだろう。
「抑圧」という言葉には「利下げ」などの言葉とは比べ物にならないほどマイナスの強いイメージがあるからだ。

先進各国で政府債務が拡大している。
この債務問題を軽減するのが金融抑圧だ。
預金者・投資家の得るべきリターンを金利操作・インフレ誘導によって圧迫することで、大口の債務者である政府の利払い負担を軽減する効果を得ることができる。
債務の実質的な負担をインフレによって減らすものであり、「インフレ税」などと呼ばれることもある。

Q2. 金融抑圧から逃れるにはどうすべきなのか?

金融抑圧が行われている国では、国債投資は合理的と言えなくなる。
国債利回りより物価上昇率の方が大きいため、名目リターンのプラスよりインフレのマイナスが大きくなってしまうからだ。
つまり、国債を持っていると、その国債の物価調整後の実質的価値は減少してしまう。

では、国内株はどうか。
国内株については資本資産価格モデル(CAPM)に基づいて考えるとわかりやすい。
CAPM式:
リターンの期待値 = 無リスク金利 + 市場リスク・プレミアム × βリスク

この式の読み方は、ある資産のリターンがベースとなる数字(無リスク金利)とリスクによって変化する部分の和で表されるというもの。
無リスク金利の実測値が長期国債利回りとなるから、その長期国債利回りに金融抑圧が働いている以上、国内株にも抑圧は及んでいることになる。
ただし、リスクを取ることでリターンを上昇させることができれば、国債投資のような実質的価値の減少を避けることができる。
しかし、その場合でも、そのリターンのかさ上げ分はリスクに対する当然の報酬にすぎない。
つまり、金融抑圧は国内株にも及んでいる。

金融抑圧から逃れるための典型的な手段は、金融抑圧のない国や地域・経済に投資することである。
実質金利がプラス、つまり、潜在成長率が良好と思われる国や地域・経済を探求することになる。

(次ページ: 日本の金融抑圧はいつまで?)