【メモ】野口悠紀雄氏:出口で起こること

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以前取り上げた野口悠紀雄氏の週刊ダイヤモンドでのコラムについて、興味深い分析がなされているのでメモしておきたい。
それは、量的緩和の出口で起こるシナリオについての考察である。

量的緩和の出口についてはさまざまなシナリオがありえようが、ハッピー・エンドのシナリオとしてはこんなところだろう。

《2%の物価目標が実現し、経済もよくなった場合》

この場合インフレ率は上昇している。
経済改善により潜在成長率も上向き、自然利子率も上昇している。
よって、名目金利も上昇している。
つまり、ハッピーな量的緩和の出口ではインフレと実質金利の両面から金利上昇が起こると期待される。

問題はこの時、日銀がALM上不利な状態におかれる点である。
現在の日銀のバランスシートに占める大きな勘定とは、資産側が保有国債、負債側が当座預金である。
つまり、日銀は市中銀行から預かっている当座預金によって資金調達し、その資金を国債で運用しているのだ。
当座預金には一部付利があり金利を払っている。
国債はゼロ近傍またはマイナスの金利での運用である。
受取金利は(償還まで保有する限り)国債を買い入れた時点で固定されてしまう。
一方で、当座預金への付利の利率は日銀が決められる。

付利は引き上げざるをえない

ハッピー・シナリオにおいて市中金利が上昇を始めた時、日銀はどうすべきだろう。
受取金利がゼロ近傍やマイナスだから、付利の利率も据え置くべきだろうか。
付利の利率を据え置いた場合を野口氏はこう予想する。

「市中金利が上昇したときに当座に付利がなされなければ、当座は取り崩され・・・
全て取り崩されて日銀券になったとすれば、17年5月で95.2兆円である日銀券の残高は、4.6倍に増加する。
・・・これが物価に影響を与えないはずはない。」

異次元緩和において、日銀はマネタリー・ベースを増やすことで(インフレ期待を高め)物価目標を達成できると主張してきた。
しかし、実はマネタリー・ベースの大部分は見せ金にすぎない。
大部分は、市中銀行が日銀に預けてある当座預金残高だからだ。
このマネーは一応存在することにはなっているが、市中に流通しているとも言い難い。
市中銀行が国債などを日銀に売って、その代金を預金として置いているだけなのだ。

市中金利が上昇したとき、当座預金の利率が上昇しなかったら、市中銀行はたいへんだ。
市中銀行の預金金利は上昇しているから、金利の上がらない日銀当座預金に置いておけば逆ザヤになってしまう。
日銀からお金を引き出して、より高い運用利回りの得られる資産に投資することになる。
ハッピー・シナリオでは、そうした運用先が見つかることだろう。
しかし、話はそれだけで終わらない。

(次ページ: 災いの元に逆戻り?)